クシュカ語 語彙集(2004年3月改訂版:今後も随時改訂予定)





© 1999-2004, 2009 Sinjow Kazma


(この語彙集の無断転載、転用を禁じます……というか、転用法に興味があるので、その折にはメールやツイッタのつぶやき等で一言御連絡いただければ、基本OKしますんで:将来的にはクリエイティブ・コモンズのby-nc-saあたりにしようかと思ってます)




  c   f    j       q       x  




<  ……語源

*   ……推定される古語、祖語

←→ ……関連するクシュカ語の単語

→  ……関連すると思われる他言語の単語

復元・再構築されたクシュカ語の語根は、大文字のアルファベットで示される

 例)LAU、SAU、SEL




abaluin{動:アバルーイン <a-bal-uin
1. 美しくする。
2. 誉める。誉め讃える。
adu_rrin{動:アドゥーリン <i-*du-rwin<*und-}
1. 倒す、押し倒す。
2. 地面に打ちつける。
agau{名:アガウ →東方イラン祖語*gari-}
1. 峠。
2. 通り道。抜け道。
aghawin{動:アガウィン、アハウィン <agn-+khawin}
1. 殺す、壊す。
2. 腐らせる。
3. 解体する。
agn{前置、接頭:アグン ……直後に無声音(清音)がきた場合はang-となり、有声音(濁音)がくるとan-となるが、例外としてagn+n->agn-、agn-+k->ank-、agn+kn->ang-がある:→ラテン諸語un-、non-}
1. 動詞語幹に先行して否定や反対の意味をあらわす:「〜しない」「〜ではない」
2. 名詞に接続して否定や反対の意味をあらわす:「非〜」「反〜」
Agna{固有:アグナ <agn-}
1. イスキュア神話における英雄、【天界十騎Us^kvanu】の一。原義「否定する者、しりぞける者」。【アクシャーザ】の供として、常に一行のしんがりをつとめる。長身で寡黙にして、あらゆる事について懐疑的態度をとる。【ホズナシュ】の従兄。
agnin{動:アグニン ←→【agn-】、【gna_lin】、【gnin】}
1. 〜をしない。やらない、おこなわない。
2. (agn+【nin】から)持たない。触れない。
3. 〜とならない、〜にならない。
agnuvdav{形:アグヌーヴダヴ <【agn-】+nuvdin(=【nin】の語尾変化)}
1. 触れるべきでない。触れることを禁じられた。
2. 禁忌の。禁断の。
agvry`{名:アグヴーユ <agbry`<agmbry` ←→【ambrey`】、【ambrunau】}
1. 屍鬼。【Vilgna女神】の眷属の一。イスキュア神話において、死期の迫った者の天幕の外に集い、またその周囲を疾駆して、死者を食らわんとするが決して果たせない妖怪。
-ah-{接尾辞:アフ ←→*aku-?}
1. 動詞語幹の後について、使役をあらわす:「〜させる」。
  例)knissin.      「彼は目覚める」
    knissahin us^kei. 「彼は馬たちを目覚めさせる」
aha_、ha_{副:アハー、ハー <*akh-}
1. つねに、いつも。
2. 永らく。
3. 引き続き、いつまでも。
ahl{名:アフル <*hlm-}
1. 天。天空。
2. 星空。夜空。
3. 柱の突端。
4. 天蓋。
ahna{名:アフナ ←→*aku-?}
1. 主人。
2. 命令者。
ahva{名:アフヴァ <【ahvin】}
1. 続き。継続。
ahvin{動:アフヴィン <*akh-}
1. 続く、引き続く。継続する。
aida{名:アイダ <【aidin】}
1. 続き。
2. 延長。突端。
3. (古)鏃。槍の穂先。
aidin{動:アイディン <ai-}
1. 続く。伸びる、伸ばす。
aienin{動:アイエニン <*yene-}
1. 思いやる。
aika{名:アイカ <*ai-<OY}
1. 現在、現時点。今。
aikh{代、副:アイハ、アイク}
1. ここに、ここで。
2. 今、今まさに。
aikhday`{名:アイクダーユ <【aikhin】}
1. 王の行政の代行者。執事。執権。
aikhin{動:アイヒン、アイキン}
1. 差配する。
2. 細かく手を尽くす。
aiklin{動:アイクリン <ai-}
1. 遅れる。
2. あとに付き従う。←→対義語【akuin】を参照。
aiky`a{名:アイキュア <ai-<【ay`】}
1. 【ナーユ天女】の異称。原義「付き従う者」。
ainin{動:アイニン <*ai(<*ay`)+nin}
1. 救う。救出する。
aiolo{形:アイオロ <ai-}
1. 長い。
2. 伸びた。延長された。
ait{副:アイト <*ai-<OY}
1. 今。この瞬間に。
aive{副:アイヴェ <ai-}
1. 常に。いつも。
2. 永きにわたって。
aivnin{動:アイヴニン <ai-}
1. 気にかける。
aiwin{動:アイウィン <ai-}
1. 伸びる、伸ばす。
aiza{名:アイザ <【aizav】}
1. 長さ。丈。
2. 距離。
3. 長さの単位:約180センチメートル。
aizav{形:アイザヴ <【aizin】}
1. 長い。
aizin{動:アイズィン}
1. 長くなる、長くする。
Ajankhuy`{固有:アジャンフーユ <*ajana「激情<生贄の心臓」+*heye-「巨人、巨体、長身」}
1. イスキュア神話における【ジェッサ誓約氏族】の女戦士。【アヴジェズルAvjezl】の長女、【アグナ】の母。母親似の巨躯で、十尺を超えてさらに育ったという。怪力の持ち主としても知られる。
aka_win{動:アカーウィン <【kawin】}
1. 乱す。混ぜる。
2. 荒らす。
akh{前置:アッハ、アック}
1. 属格に先行して、上部の位置をあらわす:「〜の上の」。
2. 対格に先行して、上部における運動や状態をあらわす:「〜の上で」。
akhna{数:アクナ、アハナ}
1. (数字の)8。
2. 八つ、八個、八人。
akhs^a{固有:アッシャ ←→【as^ta】、【as^tin】}
1. 【帝都アシュナ】の東〜北東部を流れる河。両岸には多く【ナウク人】が住み、アウロン王の血統に封じられた。
akhtay`{名:アハターユ、アクターユ <反実法三人称過去-akhta}
1. 神仏など人智を超えた諸存在の総称:「かくありしかとも思われる者」。イスキュア神話哲学において神仏天仙とは非線形時空に住まう存在として、常に「そうはならなかったが、そうなったかもしれなかった過去/未来」を内包していると見なされる。これに対して人間や神獣など単に悟性を有する者は「過去と現在は認識できるが、未来を含む非在の時空を獲得・内包できない」存在、すなわち【認識者zay`】に分類される。
akhva{名:アクヴァ、アフヴァ <*khewe-}
1. 世界。現世。
2. (壮麗な)建築物、宮殿。
3. 塔。尖塔。
akhva As^zaudunen{固有:アクヴァ・アシュザウドゥーネン}
1. (仏典)釈迦世界。中央に須弥山を、天空に日輪月輪を有し、四方には四大陸が位置する方形の世界。転輪乗経典では頂上までの高さ一千億里に及ぶ一本の角柱として描写される。現代天文学においては球形の惑星を含む複数の天体からなる系と解釈されている。
Aks^a_aza{固有:アクシャーザ <*aks-iau-s-<KES+YAW+SE「萎え脚で(膝を曲げて)戻ってくる者」 ←→【kis^】、【zau】}
1. {固有名詞)イスキュア神話において活躍する天の射手。三千世界を横断して転輪聖王の住まう〈不死の塔〉【スカウズ】を目指したが至らず、〈黄金の月〉を持ち帰ったという。
aksuin{動:アクスーイン <iksuwin<i+kis^+orruin}
→【aks^win】に同じ。
aks^win{動:アクシュウィン <iksuwin<i+kis^+orruin}
1. 不安定にさせる。偏る。
2. 跛行する。
akuin{動:アクイン、アクーイン <*aku-}
1. (家畜を)動かす。
2. 遊牧する。旅をする。
3. 強いる。強制する。
akunzay`{名:アクンザーユ}
1. 呪術師。死人使い。
akuy`{動:アクーユ}
1. (強制する)力、能力。
2. 力の保持者。能力者。
akvin{動:アクヴィン <aky`s+vin}
1. 睨む。睨み付ける。
2. 術をかける。
3. 影響する。影響を与える。
4. 指示する。
akwin{動:アクウィン <【kin】+他動詞強調の接辞i/a-rwin<Ke}
1. (家畜を)動かす。
2. 遊牧する。旅をする。
3. 強いる。強制する。
aky`s{名:アキュス <*ak(<*owku-)+y`z}
1. 目、眼球。
2. 宝玉の名前に多く用いられる美称。
    例:Urnaky`s 「白銀の眼」
ala_nuwin{動:アラヌーウィン}
1. 加える。
3. 持ち込む。持っていく。
alau{名:アラウ <*lau-「(それ自身を)幾重にも包むもの」<*lv-}
1. 錫杖。
2. 韻律。
3. 音響。残響音。木霊。
alhvin{動:アルヴィン、アフヴィン <【av】+【avin】}
1. 受ける。受け取る。
2. 授かる。譲り受ける。
alma{名:アルマ <ALEM}
1. 鷹。とくに狩猟に用いられる鷹。
2. フクロウ。
alu_da{名:アルーダ <*ay'-}
1. 時代、歳月。皇帝の治世。
 ※例)alu_da Arriazamnen  「アリアザーン帝の治世」
    alu_dien Barragne_lien 「バラグネーユ(が支配した)時代の〜」
2. 在任期間。任期。
3. 帝国に服属している諸王の統治期間。また、その間の出来事。
alwin{動:アルウィン <【lin】}
1. 出す。
2. 現わす。
amalav{形:アマラヴ <*ama-+【lin】}
1. 正統な。
2. 卓越した。
amau{名:アマウ}
1. 右。右側。
2. 右手、右翼。
amav{形:アマヴ <*ama-}
1. 右の。右側の。
2. 優位な。優勢な。
ambrey`{名:アンブレーユ <agmbry`<【agn-】+*mbr- ←→【agvry`】、【ambrunau】}
1. 不死者:原義「死に在らざる者、死に似ざる者」。
2. (雅)黄金。
3. (雅)【神聖霊液ユルサーグナ】。
ambrunau{名:アンブルーナウ ←→【ambrey`】、【agvry`】}
1. 転輪経典に語られる、不死の氏族:原義「黄金を持ち続ける者」。記憶の術に優れ、あらゆる事を忘れずにいるがその代償として人の生き血で喉をうるおす定めを負う。「パーンドゥシュの裁き」の後に【帝都アシュナ】にあらわれ、【ウルゴン河】の北岸に居住を許された。
ana_{形:アナー <ANg}
1. 主語または目的語の前について、例外の無さを強調する:「ひとつ(ひとり)の〜も〜しない」「ひとつ(ひとり)の〜をも〜しない」。→【na_】を参照。
anas^{名:アナシュ、アーナシュ <*agna-}
1. 無。否定。虚無。
2. (仏典)サンスクリット語から輸入した「空」s^unaghaのクシュカ語訳。
anbe_z{副:アンベーズ <anbessa_ve<【agn-】+【bessav】}
1. 動詞・形容詞・他の副詞を強調する:「まさに、まさしく」。→類義語【yajla_ve】を参照。
andin{動:アンディン}
1. のびる、のばす。長くする、長くなる。
andovna{名:アンドーヴナ}
1. 延長。伸張。
angha{名:アンガ <*ang-}
1. 骨。
2. 骨格。
anguin{動:アングイン <*ang- →ラテン語angere「絞める、絞め殺す」}
1. 縛り付ける。
2. 足止めをさせて他の者よりも遅らせる。
anka{名:アンカ <*ang-}
1. 後ろ、後尾。
2. 末尾。隊列の最後。
-a_nn、-u_nn{接尾:-アーン <古クシュカ語の男性形語尾-on}
1. 語幹に付いて男性行為者をあらわす名詞をつくる:「〜する者、〜である者、〜を持つ者」。
Anpharruz{固有:アンファルーズ}
1. イスキュア神話における英雄の一。【天界十騎Us^kvanu】の一人で、【ヴァラドゥーズ】の長男。長く美しい黒髪と詩才によって知られる。
anti_vna{アンティーヴナ <ande_vna<andevin<【agn-】+【din】の受動相devin}
1. (雅)未来。原義「未だ置かれざるもの」。
anu~{副:アヌー <*agna-}
1. 決して〜ではなく。
anu~jme{副:アヌージュメ <agn-+du~me}
1. 決して〜しない/ではない。もはや〜しない/ではない。
anues^lve~{副:アヌーエシュルヴェー <agn+es^linの過去分詞es^lavの副詞化語尾-ve~}
1. 悉く。例外なく。原意「(群より)離れるもの一つとて無しに」。
anuksav{形:アヌークサヴ <agn+kis^+av}
1. 平坦な。平たい。
2. 偏りのない。
3. 安定した。
anus^kin{動:アヌーシュキン <anu-+us^k +in}
1. 馬から下りる。
2. 逗留する。
3. 定住する。住む。住み着く。
anuya{名:アヌーヤ <【agn-】}
1. 非存在、不在 。
2. 欠如 。
3. 無 。
apeluin{動:アペルーイン <i-*pela-uin
1. 繰り返す。
2. (雅)髪を幾重にも巻く。絡ませる。
3. 螺旋状にする。
arhau{名:アルハウ <【arhin】}
1. (馬による)旅、旅行。
arha_y'{名:アルハーユ <【arhin】}
1. (騎馬による)旅行者。
2. 騎乗者。馬の乗り手。
3. 騎馬戦士。平騎士。
4. (雅)クシュカ帝国の臣民。
arheda_nn{名:アルへダーン <【arhin】}
1. 玉座、王座。
2. (雅)クシュカ帝国に忠誠を誓った各地の遊牧王の尊称の一。
3. (仏典)正覚者が座するとされる鞍。
arhemm{名:アルヘム <【arhin】}
1. 鞍。→【armm】を参照。
arhin{動:アルヒン <*akh-<AKh「(上への)積み重ね、積分」 →【akhva】【Mazakh】【akh】を参照}
1. 馬に乗る、またがる。
2. (馬で)旅をする。
3. (馬などを)御する。
arkh{名:アルク、アウク <*aur-}
1. 当歳馬。
armm{名:アルム <【arhemm】}
1. 鞍。
2. 背もたれのない椅子。
3. (転)座る場所。
4. (雅)住居、寓居。家。
arra{名:アラ <*aur-}
1. 若葉。
arra{名:アーラ}
1. 手のひら。平手。
2. (熊など大型動物の)掌、およびその爪。
arrassin{動:アラッスィン <*arra-<*ar- →トカラ語ar-「愛」arance「心臓」}
1. 欲する。
2. 憧れる。崇拝する。
arriamm{名:アリアム <*arri-<AR}
1. 宝玉。宝石。
2. 貴石。
Arriaz{固有:アリアーズ <arria-}
1. 男子の人名:「煌めく宝石のごとき者」または「信号を放つ者」の意。
Arriazann{固有:アリアザーン
1. クシュカ帝国の第六代皇帝(女帝)。原意「宝玉の君」「璧帝」。
arrihas{名:アリハース <*arria-+使役語尾ah-}
1. 信号。特に灯火による信号。
2. 合図。
3. 号令。
arrihas^day`{名:アリハシュダーユ}
1. 使者。伝達者。
2. 特使。全権代表者。
arrin{動:アリン <*arri-}
1. (鉱物などが)きらめく、輝く。反射して光沢をしめす。
arsin{動:アウスィン <*aur-}
1. 若くある。
arska{名:アウスカ <【arsin】}
1. 若さ。
arva{名:アルヴァ}
1. 贈り物。
2. (古)空虚、虚無。
arvin{動:アルヴィン <【avin】の古完了形}
1. (古)自死する。命令によって自決する。
2. (古)死を賜う。自決を許可する。
arwimm{名;アルウィム <【arwin】}
1. 荷物。
arwin{動:アルウィン <【avin】の完了形a_rvinより}
1. 送る、送り出す。
2. 運ぶ、届ける。
3. 贈る。贈与する。
4. (古)失う。喪失する。
arzon{名:アウゾン、アルゾン <*aur-}
1. 若武者。
2. 才長けた若者。
-as^{接尾:アシュ、アーシュ <【tas^
1. 一地方、領域、封土を意味する接尾辞:「〜の地」「〜地方」「〜国」。
2. 生国、故郷。
as^gau{名:アシュガウ <*ias^+*gau}
1. 狼。
As^gavzak{固有:アシュガーヴザク}
1. 「狼使い」。半人半獣の姿で、獣の群を自在に操るとされる者。
askau{名:アスカウ <*y`s^-}
1. 市、市場。
2. 村。村落。
3. 集会場。
as^kazay`{名:アシュカザーユ}
1. 商人。
2. (雅)人。人間。 →類義語【as^tnavay`】、【as^tvakhay`】も参照。
as^kazin{動:アシュカーズィン <*ias^+*aza-}
1. 交易する。交換する。
as^kha{名:アシュハ ←→【is^na】、【askau】、【as^na】}
1. 都市。
2. 市場。定期的に開催される市。
as^khaskhay`{固有:アシュハスカーユ}
1. アシュナーズル帝の母ヒアンカの称号:「都市を編む者」。
askheva{名:アスケヴァ、アスヘヴァ <【askhin】}
1. 織物、とくに精巧な模様で飾られたもの。
2. タペストリ
askhin{動:アスヒン、アスキン}
1. 編む。機織る。
2. 器械を用いる。→【y`nuin】、【manin】も参照。
askhva{名:アスクヴァ、アスフヴァ <【askhin】}
1. 機織り。また、絹や布を織ること。
2. 器械を用いること。
as^kin{動:アシュキン <*ias^+kin}
1. 協同する。結ぶ。
2. 共に旅をする。
3. 後に続く。
askna{名:アスクナ <askuz}
1. 夢。また、それを司る菩薩の呼称。
2. 夢の国。「夢の領土Lada Asknen、Asknus^」。
asku_in{動:アスクーイン <【asku_z】}
1. 夢を見る。
2. 微睡む。うとうとする。
askuz{名:アスクーズ <aus+*kis ←→類義語【vnakiy`】を参照}
1. 夢、またその中で発見・確認された情報や物件。
asky`nin{動:アスキュニン <*aspha-}
1. 遊ぶ。愉しむ。
2. 余裕をもつ。誤差範囲を大とする。
3. 秩序を失う。
as^lau{名:アシュラウ <*y`s^}
1. 同盟。
2. 味方。戦友。
as^luz{名:アシュルーズ <as^+【luz】}
1. 輪唱。
asna{名:アスナ <*asn-}
1. 距離。
2. (古)歩幅。一跨ぎ。
as^na{名:アシュナ}
1. 十字路。
2. 十文字。十字形。
3. 交点。座標軸の原点。
4. (天文)黄道と★天球子午線が交差する天上の位置。
As^na{固有:アシュナ}
1. トランス=ソグディアナの北方に存在した古代遊牧帝国の首都。東方においては阿須奈(あすな)国として知られる伝説上の都。転輪乗経典には多くの異称が記されており、そのうち最も有名なものは「無数の名を持つ都(直訳:自身よりも多い名を有する処)」であるとされる。アシュナは「大地に礎をもたず天空へ垂直に架かって」いるが、一年に二度「大湖のほとりに降り立ち、四方の神門を開いて地上の牧民が来訪するを許した」という。
 同じく経典によれば、「最初の人の王」ウルンクーヴァUlnkuvaの次女であるヒアンカHiankaが〈黄金の月〉を用い、一夜にしてアシュナを建立した。その壮麗な姿は「一辺三千里の方形にして、各辺は東西南北に面して大門が置かれ、都市の中央には円筒型の内裏が聳えること一万丈、内裏を囲む四百の尖塔より四つの河が流れ出て、その水はあらゆる街区を慈悲の光で満たした」と伝えられる。
asnav{形:アスナヴ、アスナウ}
1. 遠い。遙かな。
asnavin{動:アスナーヴィン}
1. 蒔く。
2. 撒く。撒き散らす。
3. 散逸する。
asnin{動:アスニン <*asn-<*zn-}
1. 一定の幅で歩く。
2. 測る。
3. 識る。理解する。推し量る。 →類義語【skuin】が静止による抽象的思考を暗示するのに対して、asninは運動→による実測→による具体把握を意味する。対義語【zna_khin】も参照。
asnudin{動:アスヌーディン}
1. 遠ざける。
2. 離れた場所に退ける。突き放す。
asnussin{動:アスヌッスィン <*asn-+zin}
1. 距離を置く。遠く離れて位置する。
2. 一定の距離を保つ。
aspey`{名:アスペーユ <*saupe- →サンスクリット語sarpati「這い寄る」、ギリシャ語herpein「這い寄る」、ラテン語sepere「這い寄る」}
1. 蛇、水蛇。
2. 脚を持たない神、「這い寄る神」。
3. (俗)おもいがけない幸運。
asta{名:アスタ <*as^-}
1. 泉。湧水。
2. 噴水。
3. 奔流。
as^ta{名:アシュタ}
1. 東。日の昇る方角。
As^tekuva{固有:アシュテクーヴァ}
1. イスキュア神話における薬師如来の別名。
as^tin{動:アシュティン}
1. 流れる。
2. 吹き出る。溢れる。
3. こぼれる。
as^tnavay`{名:アシュトナヴァーユ <*as^attava-<*ias^+*atava-}
1. (雅)人。人間。原義「交互に手渡す者」。
as^tvakhay`{名:アシュトヴァハーユ <*ias^+*tva+使役辞ah}
1. (雅)人。人間。原義「交互に渡させる者」。
As^umey`{固有:アシュメーユ <as^「場所」+*ummey`「不動の清浄」}
1. イスキュア神話における女祈祷師。【アヴジェズル】の次女。息子の【ホズナシュ】と甥の【アグナ】が【ナーユ天女】との天界戦争に出陣する際、あらゆる矢を跳ね返す盾を前者に、あらゆる敵を射抜く弓矢を後者に与えた。
as^zaudun{固有:アシュザウドゥーン}
1. (仏典)釈迦。シッダールタSiddharthaの音訳であるS^zardauが訛ったもの。
atuwin{動:アトゥーウィン <i-*tur-uin
1. 巻き込む。
2. 自転する。軸を有する。
atvau{名:アトヴァウ <*atva-<*tva-}
1. 遊牧。
2. 周遊。往復。
3. 移動。
atvay`{名:アトヴァーユ}
1. 遊牧民。牧民。
2. クシュカ帝国における平民層。財産を持ち、季節的移動ができ、貴族の指揮のもと戦争と略奪に参加する資格を有する。集合名詞はアトヴァーヌatvanuまたはアトヴェルatvel。
atvin{動:アトヴィン <*tatv-<*tav-}
1. 往復する。
2. 遊牧する。牧民として生活する。
auda{名:アウダ <*haud-}
1. 盾。
2. 防壁。外壁。
3. (壁のある)住居。
audin{動:アウディン}
1. 防ぐ。妨げる。
2. 覆う。
3. (虫や獣が)外皮を硬くする。
4. (3の転用)態度を硬化する。頑なになる。誓約を拒否する。
5. (語源の誤釈aus+dinと4の混同から)交流を避ける。隠棲する。「(自らを)彼方へ置く」。
aukhav{形:アウハヴ}
1. 未熟な。
2. 性急な。
aukhin{動:アウヒン <*aur-}
1. 跳ねる、跳ぶ。
2. とびつく。
3. 焦る。
auknin{動:アウクニン}
1. 見つける。見いだす。
2. 発見する。
3. (見つけることで)所有する、またその権利を主張する。
auksin{動:アウクスィン ……音便でaugzinとも <*auk-<*owku-}
1. 見つめる。
2. 驚いて見る。あっけにとられる。
auloz{名:アウロズ ←→【aulu】、【audin】、【auzdin】}
1. 屋根。
aulu{名:アウル}
1. 天幕。テント。
2. 宮廷。
aus{前置:アウス <?*essa- ←→es^lin、za}
1. 対格に先行して最上部の位置をあらわす:「〜の上の、〜の頂上の」。
2. 奪格に先行して、対象を超えた位置をあらわす:「〜の向こうの、〜の果ての」。
注釈……tva<*tav-が平面的直線的移動による外部への転移をあらわすのに対してaus<*essa-は垂直的・放物線的移動のニュアンスがある。たとえば、
 例)「彼は森を抜けて川へむかった」tva sugnai sarrad edan.
   「鷲たちが山を越えて飛んだ」 ausmugnag lhay`n salvande.
 という風にそれぞれ用いられる。
auzdin{動:アウズディン ……音便でaujinまたはaussinとも <aus+tin}
1. 讃える:原意「頭上/頂上に置く」。
av{前置:アヴ、アウ}
1. 属格の名詞に先行して、出自や起源をあらわす:「〜より発する、〜から生まれる」。
ava{名:アヴァ <avag* →サンスクリット語apah「水」、ラテン語aqua「水」、ドイツ語wasser「水」}
1. 水。
2. (雅)湖、大湖。
3. (古)現在のアラル海
Avanday`{固有:アヴァンダーユ <aven-na_y'「水天女」の音便}
1. イスキュア神話における神格の一。主にスーユナ大湖(現在のアラル海)に棲んで漁猟を統べる女神の一群。
avegna{名:アヴェグナ <av+yegna}
1. 祈祷。祈祷文。
2. 思考。「声に出さない言葉」。
avin{動:アヴィン}
1. 与える。
2. (雅)受ける、受け取る。
avlav{形:アヴラウ <*vil- →古高地ゲルマン語wildi、ウェールズ語gwyllt「野生の」}
1. 走り回る、疾走する。
2. 毛皮の、毛の生えた。
3. 野生の、自然の、飼い慣らされていない。
avrona{名:アヴローナ <*vron-}
1. 回転舞踊。
ay`{名:アーユ →ラテン語aevum「人生」、ギリシャ語aion「時代」}
1. 時。
2. 永い時間、永劫。
ayau{名:アヤウ <【ay`】}
1. 水辺。穏やかな水の近く。←→【khova】も参照。
2. 泉、池。
ayavnay`{固有:アヤヴナーユ <ayau}
1. イスキュア神話において、【磊江ヴラウゾン】の上流に棲みついていたとされる天女。ヴラウゾン付け替えに際して故地を離れることを拒み、アシュナーズル女帝の命令によって斬首された。その怨念は【帝都アシュナ】の内裏の北西辺にとどまり、訪れる転輪僧に対して帝国崩壊の日を予言したという。
ayekh{形:アイェク <ay`}
1. 瞬間の、一瞬の。
2. 適切な。
3. はかない。
Ay`zman{固有:アユズマン、アユズマーン}
1. イスキュア神話において、【神聖霊液ユルサーグナ】を生ずるという霊峰。東方へ伝わった転輪乗経典においては「纐纈山」「纐纈峡」などと表記される。
azau{名:アザウ <*aza-<*es- ←→【zin】、【ezrav】、【eska】}
1. 変化。うつろい。
azkin{動:アズキン <*ag-kinの音便<agn+kin}
1. 否定する。
2. 殲滅する。
azna{名:アズナ <*os-}
1. 太陽。陽。
aznin{動:アズニン <*aza-+ nin}
1. 成る、変化する。
azokh{形:アゾク}
1. 素手の。
2. 裸の、覆いのない。
3. 道具を用いない。
azr{名:アズル、アズウ →サンスクリット語as'ra、古ノルディック語a`sa、アラビア語j`ini}
1. 悪鬼、羅刹:「素手で歩く者」。
2. イスキュア神話において、【宇宙侵入神クルシュ】の先触れとしてこの宇宙に忍び込むとされる異神異仏の類。
3. (転用)無宿者。
azv{形:アズヴ <*esr-}
1. 左の、左側の。
azva{名:アズヴァ <*esr-}
1. 左、左側。
2. 左手。左翼。
ba-、bar-{接頭:バ、バル <BER}
1. 空間的先行をあらわす:「〜の前の、前面の、に先行する」。
2. 時間的先行をあらわす:「〜より以前の、より昔の」。
3. 準備や予備的行為をあらわす:「あらかじめ、前もって」。
badav{形:バダウ <【badin】}
1. 死者の。
2. 死せる〜、死んでいる〜。
badin{動:バディン <MPED}
1. 埋まる、埋める。
2. 埋葬する。
3. (古)死者を弔う。
badna{名:バドナ}
1. 煉瓦、焼き煉瓦。
bagwin{動:バグウィン <【bau-】+【gwin】}
1. 準備する。
bakha{名:バッハ <bakh<*bek}
1. 高原。ステップ地帯
2. 放牧に適した土地。
3. (古)高原へ至る、傾斜のある土地や道。「美しききざはしの地」。→【ba_la】、【ballo】も参照のこと。
4. (古)騎馬戦闘。主に平原・高原で行われる一斉攻撃。→類似の意味変化をおこした【egna】〜【egnau】も参照。
ba_la{名:バーラ <ba_l-<*balal-<MPeLeL}
1. 門、とくに城門。
2. {固有名詞、複数:BalalnuバラルヌまたはBala_nuバラーヌ)クシュカ帝国の首都【アシュナ】にあったとされる四つの門、またその門を守る四柱の【ナーユ天女na_y'】の俗称。
Bala-i-Nu_s^en{固有:バラ=イ=ヌーシェン}
1. 「夜の涯の門」:Bala-akh-Tauzen-i-Nus^en。イスキュア神話において【帝都アシュナ】の上方一千億里に位置するという天空大門。【ナナン=ズィル菩薩神】はこれを封ずるために、【宇宙侵入神フルシュ】を欺いて転輪乗経典を記させたとされる。
baldin{動:バルディン <bal-+din}
1. 飾り付ける。飾り立てる。
2. 化粧をする。
ballo{形:バッロ <完了語幹*bal-<MPeL「表面、顔」}
1. 美しい。
2. (技術または行動の成果が)満足のゆく、好ましい。
balos^{名:バロシュ
1. 美。美しさ。
balos^a{名:バローシャ}
1. 美しい女性、娘。
2. 未婚女性。
Baluzon{固有:バルゾン <【bala】+【-zon】:「大いなる門」}
1. 帝都【アシュナ】の南に位置する門。牧民が都を訪れる際には、必ずこの門をくぐると定められていた。クシュカ三大叙事詩の一つ『三王子の歌Darkiajenlu_z』の掉尾を飾る【ラーヤズル】軍と【ソルーズ】軍との衝突は、この門の前でおこなわれた。
bardu{名:バルドゥ <【badin】の完了形bardinから}
1. 塚、墳墓。
2. (転用)死者。
barza{名:バルザ <*bard- →サンスクリット語br`hant「高い」、古英語barrow「山、塚」}
1. 高み。
2. 頂き、頂点。
barzin{動:バルズィン <【barza】}
1. 頂点に至る。到達する。
2. (技芸などを)きわめる。
bask{名:バスク <BAS}
1. 獣、大型四脚獣。
baskawe_va{名:バスカウェーヴァ <【bau-】+【ska_win】}
1. 運命。宿命。→類義語【bre_y'】、【karra】、【sey'】を参照。
2. (雅)死。
bas^tu_in{動:バシュトゥーイン ←→類義語【gnin】}
1. 底を尽く。(貯蔵物が、現象の結果として)無くなる。
2. 空になる。失われる。
bas^tu_vin{動:バシュトゥーヴィン}
1. 空にする。中味を掻き出す。
2. (仏典)瞑想や断食によって修行する。
bauda{名:バウダ <【baudin】}
1. 死。落命、絶命。
2. (俗)墜落による死。
baudin{動:バウディン <【bau】}
1. 死ぬ。落命する。
2. (古)先走る。馬群の先頭を往く。
3. (俗)落馬する。
bavka_y'{名:バヴカーユ}
1. 予知者。「あらかじめ見る者」。
2. 賢者、賢人。古老。
3. (雅)老人への敬称。
ba_vkin{動:バーヴキン <【bau-】+OwKU}
1. 予知する。予見する。
2. 予測する。
3. (天候の変化を)読みとる。
bedin{動:ベディン <BE}
1. (古)(経路から)外れる。逸れる。
2. 失う、見失う。視界から逸れる。
begnin{動:ベグニン <MPENG}
1. 鋳造する。
2. 造る。かたちを定める。
beirrin{動:ベイリン <*beye-+*rhe-}
1. (前線を)保持する。守備する。
2. 見張る。
beiru_nn{名:ベイルーン <【beirrin】}
1. 歩哨。見張り番。→【sky'a】、【uzma_nn】を参照。
2. 巡検士。
beiya{代名、指示代、副:ベイヤ <BE}
1. 遠称代名詞:「あそこ」。
2. あそこの、あそこに、あそこで。
3. 彼方の、彼方に、彼方で。
Beizl{固有:ベイズル <*bey-+女性人名語尾-zl<形容語幹*belel-<MPeLeL「内部または表面への保護、加護」 →関連語彙【ba_la】【ballo】を参照}
1. クシュカ帝国における近衛女騎士団:「盾の乙女」。皇帝(女帝)を護るために、女性のみで構成された七つの騎士団(の構成員)。【Zavgana】、【Kizavna】とも称される。【ヴィルグナ女神Vilgna】を守護神と奉じ、皇帝の身体を護るためには「百たび骸となるをも辞さず」と誓った。
 ベイズルの騎士団は昴(プレアデス星団)を旗印に定め、転輪経典によれば「昴宿の深淵に本陣を構えた」という。【天空遊行】の技は有しないが、皇帝の勅許によって特別に「小千世界の黄金を恣にする」権限が与えられた。
ben{副、前置:ベン <BE}
1. 彼方に、彼方で。
2. 対格に先行して、外部性や隔絶性をあらわす:「〜の彼方に、彼方で」「〜の遙か遠くに、遠くで」。【aus】が越境可能な垂直的経路を示すのに対して、benは物理的には到達不可能な経路を暗示する。
 例)aus akhvela_g salvaiz' sugna ballo nain.「塔の群れを越えて飛ぶと、美しい森を君は見いだすだろう。」
   ben silvelie nana_ sa_rrida_nn.「星ぼしの彼方に大河やあらむ。」
benna{名:ベンナ <【ben】}
1. 彼方の場所。到達不可能な土地。
2. (仏典)彼岸。→【tova】【vassa】を参照。
Beon{固有:ベオン <BE}
1. イスキュア神話において、全宇宙を喰むとされる巨神獣。天の射手【アクシャーザ】と不死の塔【スカウズ】への道を賭けて戦い、彼に破れてのち仏道に帰依した。
ber{前置:ベル <BER}
1. 属格に先行して、空間的能時間的先行をあらわす:「〜の前に、の手前に」。
2. 奪格に先行して過去からの継続をあらわす:「〜以前から、の頃から」。
berruz{名:ベルズ <berru_z<ber-+行為者接尾辞-u_z<BeR}
1. 旗手:騎兵集団の先頭に立ち、幡を掲げ持つ者。
bes{前置、接頭:ベス <BE}
1. 名詞の対格に先行して、距離の間隔・関係の放棄などをあらわす:「〜を離れて、〜と異なって」。
2. 名詞の奪格に先行して、運動の逸脱などをあらわす:「〜から外れて、〜から逸れて」。
3. 名詞や動詞の頭について、1や2の意味を付加する。
beska{名:ベスカ <【bes】}
1. 外、外部。
2. (古)経路からの逸脱。逸れ、外れ。
beskadul{名、固有:ベスカドゥル <【bessav】+【-dul】}
1. 異郷、異邦。異国。外つ国。
2. (固有)転輪経典において、一千世界の外を指す言葉。またそこにあるとされる王国の名。
besna{名:ベスナ <【besnin】}
1. (仏典)悟り。正覚。
besnav{形:ベスナヴ}
1. (仏典)悟りを得た。
besnin{動:ベスニン <【bes】+【nin】}
1. 手を離す。
2. (仏典)執着を捨てる。
3. (転)悟りを得る。正覚する。
bessav{形:ベッサヴ}
1. 外の。外部の。
2. 他の。別の。
3. 余所の。余所者の。
bessin{動:ベッスィン <【bes】+【zin】}
1. 離れて存在する。外部(または近隣)にある。
2. 異なる。違うものである。
beulo{形:ベウロ <【beulu】からの派生}
1. 他の、別の。
beulu{名:ベウル <*be+ulu「人、者」<BE}
1. 別の者、他の者。別人。
bordin{動:ボルディン <*beor-}
1. 獣と化す。 →【borz】を参照。
2. 猛獣の如き働きをする。
borz{名:ボルズ}
1. 熊。
bralo{形:ブラロ <*br-}
1. 先頭の。先行する。
2. 最初の。一番目の。
bramm{名:ブラム <*bra-<BER}
1. 前部、前面。前。
2. 前方。
brey`{名:ブレーユ <*mbr-}
1. 死。死者。
2. (雅)運命。宿命。
by'rs{名:ビュルス <BER}
1. 鼻。
2. 突端部、突き出た部分。先っぽ。
Dagna{固有:ダグナ}
1. 赤獣。イスキュア神話において南方剣山(ヒマラヤ山脈もしくはヒンズークシュ山脈と推定される)の頂きに巣くうという巨大獣。全長八十丈、人面獣身で人語を解し、全身赤毛、巨鳥の骨を食して十万年を生きるという。【疾駆鬼グザヴェルン(Gzaveln)】の天敵。
dagnin{動:ダグニン <*dagn-}
1. 裁く。
2. 判断する。
dagu_y'{名:ダグーユ ←→【Dagna】と関連ありか}
1. 骸、死骸。
2. 屍体。
dahsa{名:ダフサ <*dak-}
1. 実。果実。果肉。
2. 肉。
dahzin{動:ダフズィン <DAKH+【zin】}
1. 重みを有する。
2. 重たくなる。
dana{名:ダーナ <dagn-}
1. 裁き。裁定。
danau{名:ダナウ <dan-<*tan- →古代中国語tan「丹、丹朱」}
1. 朱咒器。呪的防衛のための器。
2. 食肉保存用の器物。
da_nin{動:ダーニン}
1. 裁く。
2. 決定する、決断する。
danuin{動:ダヌーイン <danau}
1. 朱咒の法をおこなう。呪的防衛をおこなう。
dar{数:ダウ、ダル →ラテン語tres、ギリシャ語tries}
1. (数字の)3。
2. 三つ、三個、三人。
daska{名:ダスカ <daksa<*dak-}
1. 意味。
2. 芯。実。肝心な部分。
daugy`z{名:ダウギュズ <daugzin+y`z}
1. クシュカ帝国において珍重された貴石の一:原義「重い石」。
daukha{名:ダウハ、ダウカ <DAKH}
1. 重さ。重量。
daukhin{動:ダウヒン <DAKH}
1. 重さを量る、重さを較べる。
2. 比較する。
daumm{名:ダウーム <*tu-}
1. 大鐘。
-day`/-dey`{接尾辞:ダーユ、デーユ <-din「〜と化する、にする」}
1. 動詞語幹について、行為者をあらわす:「〜する者」。←→【-oy`】を参照。
-dey`{接尾}
→-day`
diskau{名:ディスカウ <【diskin】}
1. 筆記。書き取り。
2. 執筆。
diska_y'{名:ディスカーユ <【diskin】}
1. 書き手。筆記者。
2. 作者、著者。
diskin{動:ディスキン <*tyk+【-kin】<古代漢語?}
1. 記録する。書物に記す。
2. 文字を書く、書き写す。
diya{代:ディヤ}
1. 二人称複数の代名詞:「あなたたち」「きみたち」。属格はdiegh。
※注釈……クシュカ語代名詞の属格(-gh語尾を持つもの)は、古典クシュカ語=文語体においては別個の品詞(所有代名詞)として扱われたが、口語体や帝国の後期においてはそれまでの代名詞属格(-en/-ien語尾)に替わって用いられた。文語体の所有代名詞は、
     単数     複数
 1人称 uyagha   uyegha
 2人称 tagha    diegha
 3人称 ergha    erregha
     irgha    irregha
     hirgha    hirregha
となって、-av語尾の形容詞と同じ語尾変化をおこす。
例)
 文語体(古典クシュカ語)
  s^auz erregha    「かの者たちの旗が」
  s^audai erreghu~m 「かの者たちの旗を」
 口語体、後期クシュカ語文語体
  erregh s^auz    「彼らの旗が」
  erregh s^audai   「彼らの旗を」
dornau{名:ドルナウ}
1. 雷。雷鳴。
drenda_lo{形:ドレンダーロ <*dre(n)-+*lau-<TRE+LAWE}
1. 三乗の。三重の。
drendame_lo{形:ドレンダメーロ <【drenda_lo】}
1. 千の三乗の。
dru_k{名:ドゥルーク <DRU}
1. 武器、武具。
2. 武装
dru_mm{名:ドゥルーム <DRU}
1. 封印。また、その行為。
dru_nin{動:ドゥルーニン <DRU+【nin】}
1. (武具や権力を)ふるう。
2. 威力を誇示する。
druno_vna{名:ドゥルノーヴナ <【dru_nin】}
1. 武威。
2. 力、威力。威徳。
3. 権力。権能。
4. 人徳。(指導者・指揮官としての)魅力。
dru_s^{名:ドゥルーシュ <DRU}
1. 武器庫。
2. 武具や武装の備え。装備。
du~me{副:ドゥーメ}
1. もっと。より。さらに。
Dukhvarra{固有:ドゥーフヴァーラ <*und-+akhva+ 【ry`z】?}
1. 地下他界。イスキュア神話における異界の一。 三千世界の最底辺に位置し、そこへ墜ちれば「【ナナン=ズィル菩薩神】の慈悲光でさえ還ること能わず」とされた。ナーユ大戦の際、ただひとり【サスル放浪神Sasul】がここへ下り【ユルテナーユ天女Yltenay`たち】を救い出して戻ったことで知られる。
dul{名:ドゥル ←→【din】【tin】}
1. 地方、田舎。
2. 封土。とくに辺境領。
dumna{名:ドゥムナ <*tu-}
1. 器。容器。
2. 鼎。
dunau{名:ドゥナウ <dunin}
1. 降下。くだり。
2. {固有)イスキュア神話における、半神半人英雄【サスル】の冥府くだりの逸話。宇宙侵入神【フールーシュ】との契約によって三千世界の底へと至る物語。
du_nin{動:ドゥーニン <*ndonin<UNTE}
1. 降下する。くだる。
2. 落下する。落ちる。
3. (古)垂れる、垂らす。下におろす。
4. (後代に)続いてゆく。影響が後に及ぶ。
5. (垂直のものが横に)倒れる、崩れる。力を失う。
durna{名:ドゥルナ <【du_nin】の完了形durnin}
1. 流星、流れ星:原義「墜ちたるもの」。
durrin{動:ドゥーリン <*dor-<*tu- ←→【dornau】、【dumna】、【tugna】、【turz】}
1. 鳴る。鳴り響く。
e{前置:エ、直前に母音-eが位置する場合はneとなる}
1. 与格に先行して、運動や行為の動機・目標・空間的限界・時間的上限を明確にする:「〜のために、へむけて、まで」。
 ※例) e taud      「永遠に、時の涯まで」
     ve ne nalunda zail venav yavojen me~l.
              「そして天女たちのために吾は一千のいくさに勝利する
              (直訳:いくさについて勝利的に存在する)だろう」
2. -ver動詞(節)の未来形に先行して、主文の行為の目標・停止条件・期待、反実仮想などをあらわす:
 ※例) borzn zande kuver balojai e husvier.
              「熊たちは、少女が眠るまで待っていた」
     pher bamutai rankim ve edim e nuvier naughen.
              「彼女は、経典を得るべく、獣にまたがり旅立った」
 ※注……前置詞【lakh】も、eと同じく行為の目的をあらわすために用いられるが、前者は行為の完了や成功を(事態の後から)語るのに対し、
後者は未来形を用いて未完了または失敗の可能性を暗示している。ゆえに反実仮想のニュアンスを示すことができる。たとえば、
     kuva kwin lhai lakh salver.「王は、鷲が飛ぶのを、待つ」
     kuva kwin y`dai e salvier. 「王は、石を飛び立たせるべく/
                      石が飛び立たないものかと、待つ」
eaz{名:エアズ <*ear-}
1. 青銅。
2. 銅。
edin{動:エディン →ゴート語iddja「彼は行った」、ギリシャ語ienai「行く」、サンスクリット語eti「彼は行く」}
1. 行く。進む。
2. 発進する。出立する。
ednin{動:エドニン}
1. 波打つ。
2. 手を振る。
egna{名:エグナ}
1. 皇帝の領土。御牧。
2. (古)王侯専用の狩猟場。
3. (古)放牧地。
egnau{名:エグナウ}
1. 狩り。
2. 探索。
egwin{動:エグウィン <【e】+【gwin】}
1. 攻める。攻撃する。
ehlav{形:エフラウ}
1. 高貴な、尊い
ehlukna{名:エフルクナ、エフルークナ <*hlm+ekn}
1. 王族:「高き者」。
ek{数:エク <*ekn- →サンスクリット語eka、ラテン語unus、ノルディック語oena}
1. (数字の)1。
2. 一つ、一個、一体。
-ekh{接尾辞:エク、または-okhオク <*khei}
1. (俗)名詞の後について形容詞化する:「〜のような、に似た」。
ekna{名:エクナ}
1. 狩り。
2. 探索。
eknin{動:エクニン <okn-<*ok-<*owku-}
1. 探す。注意深く見回す。
2. 求める。
eknuin{動:エクヌーイン}
1. 捜索する。
2. (屋内など特定の箇所を)探し回る。(天幕の内を)探って荒らす。
3. 詮索する。
eksa{名:エクサ ←→【ksin】<KES}
1. 膝。
2. 臑。
eksavna{名:エクサーヴナ <eknovna<【eknin】と、【eksa】との語源混淆}
1. 使命。
2. 運命によって定められた探索。
3. 皇帝の命令。
eksavya{名:エクサーヴヤ ←→【eksavna】}
1. 問い。質問。
2. 疑問。
3. (仏典)転輪乗仏教において、正覚に至る最初の一歩。
eksudin{動:エクスーディン <【eksa】+【tin】}
1. 跪く。
2. (雅)敗北する。
eku_win{動:エクーウィン <*eku_v-in<KU-BHE}
1. 生きる。
2. 暮らす。過ごす。居住する。
3. 移動する。動きまわる。 ←→【akuin】を参照。
eku_y`{名:エクーユ <【eku_win】}
1. 移動民。集合名詞はekunuまたはekuvel。集団をあらわす接尾辞-nuは、語源的には、子音で終わる名詞の主格複数語尾-n/-unと関係していると思われる。
ekuz{名:エクーズ <【ekuwin】}
1. 移動。遊牧生活。
2. (雅)天幕。
ena{名:エーナ <anorrin<【nin】}
1. 素材。
2. 糸。 →【kay`】、【kay`na】を比較参照のこと。
enakh{接続:エナッハ、エナク <en-「一つの」+【akh】 ←→【ekn】}
1. 代替をあらわす:「〜または〜」。
2. 複数からの択一をあらわす:「〜する、または〜する」。元来は「その一方で〜」の意で用いられたと思われる。
enav{形:エナヴ、エナウ}
1. 単独の、単体の。
e_nav{形:エーナヴ <【e_nin】}
1. からまった。
2. 輪になった。
e_nin{動:エーニン <EU「小指、(数えはじめの)第一の指」←→【ek】を参照}
1. 結ぶ、結び目をつくる。
2. (指などを)からめる。
enjunak{副:エンジュナク <en-【s^a】-【ekn】}
1. 個別の状態や運動をあらわす:「それぞれ」。原義「一つにつき一つの〜」。
enk-{接頭:エンク <*ekn-}
1. 【ek】の接頭形:「一つの〜」。
e_nu{名:エーヌ <【e_nin】}
1. 結び目。
2. 節。(瘤のように)丸くなった部分。
3. (仏典)印相。結跏趺坐する際の指の形。
4. 交差させた指、またその形。主に呪的な意味を帯びる。
eolin{動:エオリン}
1. 皮を剥ぐ。
2. 果物の皮をむく。
eolu{名:エオル <*e-lau-<LOW}
1. 肌。素肌。
2. 外皮。
3. 果物の皮。
er{代:エル}
1. 三人称単数男性形:「彼」。属格はergh。
erga{名:エルガ <*ern-<EREN}
1. 煙。もや。
2. (仏典)不確かであること。無常。 →類義語【kuhuna】、【tarra】も参照。
 ※例文)
  va-y`z nan erga.
  「すべての石は煙である(=諸行は無常である)」
erkha{名:エルカ <*erkh-<EREGH}
1. 白銀色。
2. 灰色。
erma{名:エルマ <*erkh-ma<EREGH}
1. 乙女、処女。
ern-{接頭:エルン <EREN}
1. 白銀色または灰色をあらわす接頭辞。
ernau{名:エルナウ <EREN →印欧祖語eER「巨大な鳥」:古英語earn、ギリシャ語ornis}
1. 鷲。オオワシ。 →類義語【lhay`】を参照のこと。
Erndeva{固有:エルンデーヴァ <Ern+neva}
1. エルン王国。北方守護を命ぜられたエルン氏族が統治する、内裏の北にあたる一帯。エルンの民自身はエルンネーウェErnneweと呼びならわした。
2. 【ヴィルナ】の血をひく北方王家の所領。三千世界の北方に広がり、虚空蔵菩薩の加護を得て多くの転輪僧が住まわった。
erre{代:エレ}
1. 三人称複数形:「彼ら」。属格はerregh。
erruz{名:エルズ <*ern-<EREN}
1. (古)灰。煤。
2. くすみ。かすれ。
3. 霞。霧。
erzav{形:エルザヴ、エウザヴ}
1. 不確かな。おぼろげな。
2. 霞のかかった。
erzin{動:エルズィン、エウズィン <*ergn-}
1. 霞がかかる。霧が出る。
2. 不確かになる。ぼやける。
es-/ess-/ez-/es^-{接頭:エス
1. 動詞の語頭について可能態をあらわす:「〜できる、〜し得る」。
eska{名:エスカ <}
1. 曲がり角。
2. 道のうねり。事態の曲折。
3. (転用)金細工の飾り物。優美な曲線をもつ装飾品が多くつくられたため。
4. (固有)女子の人名。
es^ka{名:エシュカ}
1. 放浪、迷走。
2. (仏典)無明。蒙昧。
eskol{名:エスコル →古ラテン語stlocus「場所、地所」、ギリシャ語stellein「建てる、置く」}
1. 塔。
2. (都市内の)場所。位置。
esky`l{名:エスキュル <eskil<*askil →ギリシャ語axine「斧」、ラテン語ascia「斧」}
1. 斧。
esl{名:エスル →ラテン語sal、古高地ゲルマン語salz}
1. 塩。
2. 外海