新城カズマの新連載『島津戦記』冒頭をネットで無料公開するってのはどうよ?と言われたので、さっそくやってみた【追記あり】

S「というわけなので、以下にやってみました:後々いろいろ整形するかもですが、とりあえず今はこれが精一杯…」
クラリス「まあ…(万国旗を眺める)」
M「ってどこから出てきたんですかクラリスが!」
S「まあまあ。というわけで、以下草稿バージョンからのコピペです」

長篇歴史大河ロマン『島津戦記』 by新城カズマ




「いり豆をかじりつつ古今の英雄を罵倒するのは人生最上の快事である」と荻生徂徠が言ったと伝えられるが、歴史に興味を持つ者にとって、たしかにこれは楽しいことに違いない
       ――海音寺潮五郎


 事実は、こうだ
       ――山田風太郎


 歴史……すなわち思弁小説の一形式
       ――ウィリアム・ギブスン






       


 ――誰も彼もが、武器を帯びていた。

 男たちは刀を手にしていた。女たちは短い刃を隠し持った。老いたもの、若すぎるものたちも身近に得物を求めた。石は投げれば凶器になった。油を浴びせかければ敵は退散した。竹を組み合わせた柵が道をふさぎ、泥水にみたされた堀が屋敷を囲んだ。鋤も、鍬も、銅銭さえも、いくさの前には鋳潰されて槍の穂先となった。言葉は相手を殺す呪詛と化した。文字は秘密をつくり、弱い心をまどわし、遠く離れた将を調伏した。
 あらゆる取引が、いくさの中へ呑み込まれていった。海から運ぶしかない塩はもっとも貴重な兵力だった。絹や毛皮は敵対するものたちの心を動かす軍勢だった。血のつながりもまた例外ではなかった――息子は人質となって殺され、娘はかりそめの平和の証にと嫁いだまま命を絶ち、おさない子どもたちさえも恨みの連鎖を断ち切るために喉を切り裂かれた。屍は積み重ねられ、埋められ、あるいは捨て置かれた。途絶えた血筋は、その栄光もろとも、またたく間に忘れ去られた。
 争うものは武士と呼ばれたが、しかし、争わずにいたのは既に死んだものだけだった。すべての土地に争いがあった。田畑をたがやすものも争った。魚をすなどるものも争った。山はいくさ場となった。川は攻め込むための道だった。野原はあちこちで踏みにじられた。村は武装し、町は焼かれ、伽藍はくりかえし崩れ落ちた。だれも護ってはくれなかった。命はどこまでも軽く、鎧と兜はひたすら重くなった。
 そして皆、この殺し合いが、いつまでも続くのだと思っていた。

 ほんの、一握りの者たちを除いて。

S「……で、このあと第一章が始まるわけですが。本文はもうちょっと軽い文体です。あ、あと、これ編集様には無許可でやってるので、もし怒られたら早めに削除しますんで
M「無断でやってるんですかっ!?(←怯えてあたりを見回す)」
S「まあそう焦らずに。前回もそうだったけど、こういうのは、その場のノリが一番大事なんじゃよ」

追記:
S「……とか言ってたら、こんなページが^^;」
X「うーんやはりアントンシク画伯の挿絵がつくと、ぐっと映えるなあ」